まだ救助活動が続いているものの、絶望的な状況の知床遊覧船クルーズ
一体なぜこんなことになってしまったんでしょうか
沈没したKAZU1を利用していた知床遊覧船の公式HPは現在も閲覧できる状態になっていますが、ネット予約は停止されているものの運営部からのお知らせなどは掲載されていません。
KAZU 1が出航したのは午前10時ころで、午後1時すぎに無線や電話で救助要請があり、午後2時に船主が30度傾いているといった連絡のあと連絡が途絶えてしまったようです…
その日は波が高く、出航するには不向きな日。定員60人以上の船なので26人の乗客じゃ少ない方だと思いますが、コロナ禍で観光客が減った中、大人1人8800円のコースにそこそこの人数が集まったので欲がでてしまったんでしょうか…
まるで未開の地 知床は交通手段が皆無
さて、乗客が26人も乗っていながら、連絡が付かなかった原因は知床と言う地理にあるでしょう。知床半島は中部から北部にかけて国立公園となっており、開発が禁止されています。そのため道路なども整備されておらず陸路で巡るのは熊が生息強いることもあり極めて困難。素人が知床岬の方まで観光する方法は海路で遊覧船を使い上陸せずに眺める他はないわけです。
こんな地理のせいか、航空救助の空白地帯になっており最初の連絡から釧路航空基地所属のヘリが到着したのが午後四時半、その後巡視船が来たのが午後6時前。うーん…
遭難現場はカシュニの滝あたりだったようですが、写真を見る限り断崖絶壁で船を寄せられるような雰囲気は無いですね。
更に北上すると文吉港という小さな港があるみたいですが、エンジンが止まってしまってはたどり着けそうには無いですね。
連絡手段の乏しさが大惨事を招いたか?
そんなこともあり、遭難現場は携帯電話会社のサービスエリア外になるようです。
北海道知床観光船の遭難現場、
— S.S (@show_jii) April 23, 2022
幸運を祈っています。
乗客からの通信ないのかなと地図を見たら、携帯3キャリアとも完全にサービスエリア外だったのか・・・ pic.twitter.com/ClRxPoVfGV
※docomoは海上エリアが広いので地図を信じれば携帯電話が故障しない限りギリギリつながりそうですが。
また、遭難した観光船が最初に海上保安庁に連絡をしたわけではなく、やり取りを無線で聞いていた別の会社だったようです。直後にKAZU1からも118番通報があったようですが、本来ならもっと早く連絡がされてないとおかしいんですよね。
北海道・知床半島沿いで観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が23日午後に不明となった海難事故。最初に海上保安庁に異常を通報したのは、カズワンと運行会社のやりとりを無線で聞いていた別の観光船会社だった。
運航会社「知床遊覧船」のカズワンが知床半島の先端を巡り、定刻通りなら北海道斜里町ウトロに帰港予定の23日午後1時13分ごろ、同業者の「ゴジラ岩観光」事務所にいた男性のアマチュア無線から「沈む」という緊迫した声が聞こえてきた。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE242KS0U2A420C2000000/
観光船にもかかわらずアマチュア無線で他の会社とやりとりしていたことや、運航会社が衛星電話で連絡をしたのに繋がらなかったこともあり人災と言われても仕方がない部分もあったのでは…
携帯電話のサービスエリアの件もあり、衛星電話が普段から使えることをなぜテストしていなかったのか(本当に普段から使える状態になっていたのか)、何故悪天候の中むりやり出向してしまったのか、等不可解な点が多いです
救命胴衣は最初は全員着てきたけど
救命胴衣を全員着用し救助に備えていたようですが、悪天候や救助に不向きな土地柄から捜索が難航し、日没を迎えてしまいました。
海水温は1桁で、体力がある人でも長くは耐えられないでしょうね…
また、9名中5人しか発見された時に救命胴衣を着ていなかったという報道もあり、着用の指導の仕方にも問題があったのではないかな?と思います。股ベルトまでしっかりつけていないと着水時に脱げてしまうかもしれませんね。
衛星電話の件もあり、この事故は本当に事前の防災訓練をしっかりしてるのが疑問になってしまいました。
この会社がもう1隻船を所有している他、無線で連絡していたことから同業の観光会社も知床にはあるようですが、もう二度と同じ災害を起こさないように努めて欲しいですね。